内視鏡Q&A

内視鏡検査はどんな時に受けるの?
胃カメラはみぞおちの痛みや不快感、吐気、胃痛、食欲低下、黒っぽい便が出る等、自覚症状があるときは、医師に相談したほうがよいでしょう。
特に2週間以上続くような方は受けたほうがより良いと考えます。
以前の上部内視鏡検査で潰瘍やポリープなど病変を指摘された方も、1年に1度検査をされたほうがよいと思われます。
また、貧血を指摘されている方は必ず受けたほうがよいでしょう。
特に30歳以上で貧血を指摘されているにもかかわらず、胃カメラを施行していない方は強くお勧めします。
内視鏡検査を受ける前後に、食事制限はあるのでしょうか?また、他に制限されることはありますか?
基本的に、消化管の検査では検査前に食事制限があります。
【食道・胃内視鏡検査(午前中の検査の場合)】
食道・胃の検査では、検査前日は21時くらいまでには夕食をすませ、絶食が必要です。
お水とお茶は飲んでも大丈夫ですが、牛乳などは飲んではいけません。
当日は絶飲食(飲んでも食べてもダメ)で来院していただきます。
ただし、午後検査を希望される場合は前日は同様ですが、当日は時間により変わってきます。
検査後については、上部消化管の検査ではのどにした麻酔がのこっていますので、軽くうがいをして1時間くらいは飲食禁止とします。また、組織採取など何らかの処置をした場合などは、医師の指示に従うようにしてください。

【大腸内視鏡検査】
大腸の検査の場合、腸の中を空にしなくてはスコープが入っていけません。
通常は食事も21時くらいまでにすませ、絶食します。なお夕食はお粥や素うどんなどにしていただき、根菜類や菜っ葉、シイタケなどは消化が悪いためやめて頂いています。
また検査当日はに2リットルの下剤を飲み腸の中をきれいにする処置をします。
なお便秘がある方は数日前から徐々に下剤をかけて大腸をきれいにしていきます。
検査後は、少し休養してから帰ります。また、鎮静剤を使った方は最低でも2時間程度は寝て経過をみて帰宅していただきます。
ポリープの摘出(てきしゅつ)など、何らかの処置をした場合などは、自宅での食事など医師の指示に従うようにしてください。

【食事以外の制限】
食事以外に制限されることとしては、お薬があります。
どのような薬を飲んでいるか、事前に確認されますが、内視鏡検査に影響するようなお薬(抗凝固薬・血をサラサラにする薬)は、検査1週間程度前から飲むのをやめてもらうこともあります。
飲むことを欠かすことができないお薬(高血圧・糖尿病など)は通常通り飲んで頂きます。
また、検査前に鎮静剤を使った場合、覚醒が不十分だと帰り道に危険なので、車の運転や危険な作業などの制限もあります。
安全な内視鏡検査のためにも、検査前の説明をよく聞き、疑問や質問はきちんと医師に尋ねておきましょう。
なにか注意事項があれば、それをしっかりと守ってください。
胃カメラで診断できる病気はなんですか?
逆流性食道炎
食道癌
食道ポリープ
慢性胃炎
胃びらん
胃潰瘍
胃ガン
胃ポリープ
胃腫瘤
十二指腸炎
十二指腸潰瘍
十二指腸ポリープ
十二指腸乳頭ガン
等が診断できます。
内視鏡検査は実際、どのくらい時間がかかるのでしょうか?
一般に、胃腸の内視鏡検査にかかる時間は、検査全体で10~20分程度のところが多く、実際に内視鏡が体内にはいっている時間は口のカメラは5~7分、鼻のカメラは7~10分食道や胃の検査の前処置として、のどに局所麻酔をしたり、鼻のカメラの場合は挿入する側の鼻に止血処置や麻酔処置を施します。
また、内視鏡で観察しやすくするため、胃腸のはたらきを抑える注射を行います。

大腸の検査は必要に応じて浣腸をしたり、局所の麻酔をしたりします。
当院では必ず点滴をとり、そこから腸の動きを止める注射をしたり、必要に応じて鎮静剤を注射したりします。鎮静剤を最初から使用することもあります。
特に便秘のひどい女性などは最初から鎮静剤を使用したほうがよいかもしれません。
大腸カメラの時間は人それぞれ違いますが、15分~30分が平均的です。
生検とは何のこと?
胃がただれていたり、潰瘍やポリープなどの病変があった場合にマッチ棒の先(2~3mm)の半分くらいの組織を摘み取って顕微鏡で見る検査です。病変が癌であるか否かを見る検査で、胃カメラがレントゲンの検査にくらべて優れている点の一つです。
検査は苦しいですか?
できる限りリラックスして検査を受けることが楽に検査を受けて頂くこつです。細径の内視鏡や、経鼻の内視鏡は患者様に好評を得ております。また、一定の条件を満たせば、希望により鎮静剤を使用して検査を受けることができますので、主治医または担当医と御相談ください。
大腸内視鏡検査とはどんな検査?
内視鏡を肛門から挿入して、直腸・S状結腸・下行結腸・横行結腸・上行結腸・盲腸、と大腸粘膜の状態を直接見る検査で、場合によっては回盲部という小腸粘膜の末端も見ることがあります。必要に応じて生検やポリープ切除などの処置も行なえます。
大腸内視鏡でポリープを切除するとき、痛くない?
大腸ポリープは大腸壁の粘膜面に起こる病変です。その粘膜面には知覚神経は存在しないので、切除の際は全く痛みを感じる事はないのでご安心ください。
口からの内視鏡(普通の胃カメラ)と経鼻内視鏡の違いは?
「口から入る」、「鼻から入る」、「経鼻内視鏡の方が細い」以外に、鼻からの内視鏡の一番の特徴は、検査が苦しくない、苦痛が少ない、と言うことです。
口の利点:麻酔+検査時間が早いこと。画像解析度が良いこと。
鼻の利点:嚥下反射(ゲ~)が非常に少ないこと。
口の欠点:嚥下反射(ゲ~)が鼻よりは多いこと。
鼻の欠点:麻酔+検査時間が長いこと(口より約10分ぐらい長い)。
画像解析度が口より若干落ちること

しかし、治療が必要な病気を見つけるための検査としては十分な機能を有しています。
経鼻内視鏡は苦しくないですか?
経鼻内視鏡は苦しくないという話ばかりが先行して、注射を受けるよりも苦しくない、まったく症状がでないと思って受診される方がおられます。
経鼻内視鏡は従来の内視鏡と比べて楽なのは事実ですが、全く症状を感じないわけではありません。よく言われるのは鼻の奥の痛みです。
鼻の奥をスコープが通過して刺激するわけですから、鼻の奥が狭い方(特に女性に多い)では症状が出やすくなります。
また、胃カメラと言うとゲーゲーして(嘔吐反射)苦しいとよく言われますが、経鼻内視鏡でもまったく嘔吐反射がでないわけではありません。
ただし、ほとんどの方はスコープがのどを通りすぎた直後に1-3回程度で起こるだけです。過去に口からの内視鏡を経験された方で経鼻内視鏡を受けられた方は、全員経鼻内視鏡の方が楽だと言われています。
検査はいつできますか?
【胃カメラ】
検査は診療日全て施行しています。基本的には午前中に施行していますが、お勧めは朝イチ8時半です。拘束時間が一番少なくて(約30分~40分)すみます。
また午後施行もしていますが、その場合は絶食時間が長くなることを御承知ください。
基本は予約性ですが、枠が空いていれば飛び入り(その日の施行)も可能です。
なお緊急性の強い方はその限りではありません。

【大腸カメラ】
検査は月曜日~土曜日まで施行しています。
全て予約となっており、月曜日~金曜日は14時、土曜日は13時になっています。
食事の制限はどうなっていますか?
【午前中検査の場合】
前日は午後9時までに食事をしていただき、水分はとってもかまいません。
当日は絶飲食(飲まない・食べない)で来て頂きます。

【午後の検査の場合】
前日は午前中検査と同様。
当日は食事は絶食、飲水は検査4時間前は可、ただしお茶・お水のみとします。
どういうときに検査をした方が良いですか?
大腸癌検診、検便の検査で1回でも陽性が出た場合は、精密検査として大腸内視鏡検査(肛門から一番奥の盲腸まで観察)が推奨されています。便に血が混じる方、最近になって便秘または下痢になり、その後も治らない方は、慢性の腸炎や腫瘍(しゅよう)性の病気がある可能性があります。
親、兄弟に大腸癌の方がいる場合は大腸癌になる確率が高いですので、機会を見て一度は大腸内視鏡検査を受けられた方がよいでしょう。
過去に大腸ポリープ(早期大腸癌を含む)を治療したことがある方は、定期的(2~3年に1回)に検査施行を勧めます。ただし、ポリープ切除翌年は必ず施行することをお勧めします。
検査当日の流れを教えてください。
【前日】
検査前日は21時までに食事を終了してください。特に夕食は何も入っていないお粥や素うどんを食べて頂いたほうが、よりきれいな検査ができます。

【当日】
当日は朝から絶食で、9時頃よりご自宅で水薬の下剤を飲んでいただきます。量は多いですが、味は個人差があると思いますがまあまあです。2時間程度で飲みきっていただきますが、その間に便が出始めて、透明な液だけが出るようになれば前処置は終了です。
なお出が悪い場合は部屋の中を歩くなどしてなるべく動くようにしてください。
12時頃に前処置の具合を確認するために電話を一報頂きます。
予約の時間の14時前(土曜日は13時前)に来院してください。
麻酔を希望された場合は、当日は自動車を運転することができません。
公共交通機関を使われるか、家族の方のお迎えをお願いいたします。
大腸のどこまで検査しますか?
大腸は肛門から盲腸まで1m弱の長さがあります。このすべての範囲を内視鏡で観察するのが全大腸内視鏡検査です。
すべての範囲を観察しなければ片手落ちの検査になってしまいますが、全大腸内視鏡は技術を要するため検査できる施設が限られてしまいます。
当院は大腸内視鏡検査が基本になっています。
バリウムの検査(注腸造影)との違いはなんですか?
肛門からバリウムと空気を入れてレントゲン写真を何枚も撮り、病気の有無をチェックする検査が注腸造影検査です。基本は胃のバリウムの検査と同じですが、検査の前処置が悪いと便が残っていて、小さな病変が(時には大きな病変さえも)わからないことがあります。
また注腸造影で異常が疑われた場合は大腸内視鏡検査になるため、1回で病気がわかった方が良いからと、最初から内視鏡検査を希望される方も多いです。
注腸造影検査は病院などではレントゲン技師が行う場合もあります。
一方、大腸内視鏡は医師しか施行できず、検査できる施設が限られます。
検査は苦しくないですか?麻酔は使ってもらえますか?
全大腸内視鏡が技術を要するのは、スコープを奥まで入れていくのに患者さんの苦痛を伴うからです。苦痛を起こさずに検査を行うためには高い技術と経験が必要で、この検査ほど内視鏡医の腕に差が出る検査はほかにはありません。
当院では麻酔をかけなくても全大腸内視鏡を行えるだけの技術と自信がありますが、不安が強かったり、過去の検査で痛い思いをされた方などには麻酔を使って寝ながら楽に検査を受けていただくこともできます。
特に便秘のある方は腸が伸びやすく、挿入困難に陥り、痛みを伴うことも多いので、事前に麻酔を施行したほうがよいかもしれません。
治療はできますか?
内視鏡的にとれるポリープ(早期癌を含む)であれば、ほとんどのものは当院でとることが可能です。
但し、出血の可能性が高いものについては病院にお願いすることにしています(全症例の1%以下)
お金はどれくらいかかりますか?
【胃カメラ(保険3割負担の場合)】
1)全く所見がない場合:約5,000~6,000円
2)所見がある場合:約8,000~10,000円
3)広範囲に所見がある場合:約12,000円前後

1割負担の方はその1/3の料金です

【大腸カメラ(保険3割負担の場合)】
1)全く所見がない場合:約7,000~8,000円
2)所見がある場合:約10,000~15,000円
3)ポリープ・がんを切除した場合:約20,000~35,000円
※2)、3)は取った部位、個数などで変化します。
1割負担の方はその1/3の料金です
補足(ピロリ菌・ピロリ菌の除菌について)
※ヘリコバクター・ピロリ菌と除菌について
ピロリ菌は元来古代のミイラにもみられることができる古くから人類の胃や十二指腸にいる菌です。
ピロリ菌の感染は5歳ぐらいまでに起こると言われており、主に経口感染が原因であります。
小児期の保菌者の親との接触や、整備されていなかった上下水道、井戸水などが原因ではないかと推測されています。
現在20歳代の感染は20%前後に対し、50歳以上、特に団塊の世代や戦前生まれの衛生状態が悪かったときに生まれている方は
70~80%の保菌率といわれています。
そしてこの菌をもっていると何が悪いのか。
これは胃・十二指腸潰瘍・慢性胃炎、強いては胃がんの発症リスクを高めると最近の研究で言われています。
特に生活習慣病などが合併すると、疾患によっては何十倍にもリスクが上がります(特に糖尿病と胃がん)
ではピロリ菌の治療法なのですが、現在胃潰瘍・十二指腸潰瘍のみに保険で除菌療法が認められています。
よってそのほかは原則保険外(自費)になります。(当院に御相談いただければと思います)
方法は1週間、2種類の抗生剤と1種類の胃酸分泌を抑える薬を内服してもらう方法です。
ちなみにヨーグルトは静菌(菌の活動をおたなしくうること)や数を減らすことはできますが、除菌をすることは全くできません!
多少の合併症はありますが、この方法しか今のところはありません。
確率は1回の内服で75~80%、1回で除菌できなかった方が2回目の内服で95%ぐらいの方が除菌できます。
つまりは2回除菌をすればほとんど除菌が成功できます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍でピロリ菌がいる方はもとより、ピロリ菌が陽性と出た方は是非除菌を施行することをお勧めします。

ご自身と大切なご家族の健康を守るために

一般内科医、消化器内科専門医として信頼できるクリニックを目指します

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